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決算終了→公告はするべき?
株式会社や一般社団法人等の法人は事業年度終了後、決算を終わらせ、3か月以内に定時株主総会を開催し、貸借対照表その他の計算書類の承認を受ける必要があります。そして定時株主総会終了後、遅滞なく貸借対照表を公告する必要があります。
なぜそのような制度があるかというと、株主や債権者保護のために貸したお金、投資したお金の回収不可を防止するため、必要な財務情報を載せる必要があります。
公告方法
公告方法は大きく3種類あります。
①官報に掲載
②日刊新聞に掲載
③電子公告(自社のHPなど)
●官報は国が発行している新聞で、決算公告には一番多く利用されています。各地の官報販売所で購入でき、神奈川県だと横浜市中区相生町にある横浜日経社という場所で購入できるようです。掲載内容は貸借対照表の全文ではなく要旨だけで問題ないとされています。
行で買う場合と、枠で買う場合があり費用が異なります。以下のサイトを参照ください。おおよそ7万円~15万円が相場。
https://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoPrice/?op=1
弊所では特に指定がなければ公告方法は官報で定款を作成します。
●日刊紙に載せる場合は紙面を購入して公告します。官報に比べ費用はかなり高くなり、おおよそ地方紙で50万円~、全国紙で100万円~と言われています。なお、スポーツ新聞、週刊新聞、月刊新聞は含まれません。日経新聞、日刊工業新聞はOKです。官報同様、貸借対照表の要旨のみでよいとされています。
各紙の料金は以下を参照ください。
https://www.shinbun-navi.com/landing/lan18.html
●電子公告は自社のHPに決算内容を表示する方法です。掲載自体には費用はかかりませんが、事後の改ざんが容易であることから、法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関の調査を受ける必要があります。登録された調査機関→https://www.moj.go.jp/MINJI/minji81-05.html
なお、定款にHPのURLを記載する必要はありませんが、株式会社や一般社団法人において公告方法は登記事項ですので、登記簿にURLを記載する必要があります。官報から→電子公告にした場合も変更登記が必要です。定款にはこんな感じで記載します。↓
(公告の方法)
第○条 当会社の公告は、電子公告の方法により行う。
2 当会社の公告は、電子公告による公告をすることができない事故その他やむを得ない事由が生じた場合には、○○に掲載してする。
電子公告のデメリットとしては、官報や日刊紙が貸借対照表の要旨だけでいいのに対し、全文を掲載しないといけないところです。
※NPO法人も公告義務がありますが登記事項ではないです。合同会社は決算公告義務は無し。(解散や合併、吸収分割、新設分割等の組織変更、減資の時などには公告義務あり)
実際公告をしなくてもよい?
しましょう。
決算公告は大企業、中小企業問わず全ての株式会社に課せられた義務でありながら、実際に決算公告を行っている会社は数パーセントといわれています。理由はめんどくさい、そもそも知らない、決算内容を知られたくない(役員報酬、交際費などがバレる、悪い経営状況を知られたくない、儲かっていたら取引先から減額要求されるのではないか等)などの理由があります。「じゃあウチも公告しなくていいんじゃない?」という考えになる経営者もいるかと思いますが、公告を怠ると罰則があります。
参照:e-Gov|会社法(過料に処すべき行為)
第九百七十六条 発起人、設立時取締役~(略)次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。
二 この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
罰則があるからするということではなく、そもそも義務であるということと、その義務を果たし、情報をオープンにしている会社ということで信用を得られます。