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在留資格の取り消しと強制退去手続き
日本に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定める在留資格のいずれか一つをもって在留することとされています。在留資格には、日本で行える活動と在留期間が定められており、外国人はそれぞれの資格に応じた活動を在留期間内に限って行うことができます。
ですが在留資格に含まれない活動を許可なく行った場合は処罰の対象となり、退去強制事由に該当した場合は退去強制手続きがとられます。
代表的な事例
1. 不法入国者 有効なパスポートを持たず入国した者、上陸許可を受けていない者
2.不法上陸者 上陸許可の認印を受けないで上陸した者(コンテナ船、漁船などの密航)
3.資格外活動 在留資格で定められた活動以外の活動を行っている者(留学生なのに就労している、就労ビザを持つ者が許可なく深夜バイトをしている等)
入管法22条4に定める事由のいずれかに該当する場合は、在留資格の取消しの可能性があり、24条の退去強制事由に抵触する場合は退去強制手続きがとられます。
※出入国在留管理庁によると、令和4年の在留資格取消件数は1,125件あり、令和3年の800件に比べ40%増加となっています。
在留資格別に見た場合
技能実習が901件(80%)、留学が163件(14.5%)、技術人文知識国際業務が23件(2%)
国別に見ると、ベトナムが804件(71.5%)、中国146件(13%)、カンボジア53件(4.7%)
取消事由別に見ると、第6号が917件(81.5%)、第5号が161件(14.3%)、第2号が28件(2.5%)
ここでいう第何号とは、入管法22条4第一項各号に定められた在留資格の取り消し基準のことで(1から10まであります)、最も多い第6号違反は「正当な理由なく在留資格に応じた活動を3月以上行わないで在留していること」です。
事例として
・「技能実習」を持つ者が実習先から失踪し、技能実習の活動を行わず3ヶ月以上日本に滞在していた
・「留学」を持つ者が学校を除籍されたのち3ヶ月以上日本に滞在していた
技能実習生の失踪についてはたびたび社会問題となっており、政府の有識者会議では、技能実習制度を廃止し新制度へ移行する方針のようです。技能実習生の国別構成比ではベトナム人が56%を占めており、上記の在留資格取消の大部分を占めていることが分かります。